両親が加齢とともに認知症を発症してしまうと、両親の判断能力が失われます。
その結果、銀行口座が凍結され、成年後見人をつけないと財産を使うことができません。
つまり、親の介護の費用を親の財産から、簡単に拠出することができなくなります。
そうならないように、元気なうちから介護準備を始めましょう!
認知症とは?
認知症とは、正常な判断ができなくなる症状です。厚労省のサイトでは以下のように説明されています。
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
厚労省/みんなのメンタルヘルス
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。次いで多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症です。
具体的には、以下のような症状が発生します。
- お金の勘定ができなくなる
- 慣れた道で迷う
- 話が通じなくなる
- うつ・不安になる、気力がなくなる
つまり、まっとうにお金の管理ができなくなります。
認知症になるとどうなる?
認知症になると、お金のトラブルが増えていきます。親の財産が失われてしまう可能性が高まります。それは判断能力が衰えてしまうからです。具体的なトラブルは、以下に挙げるようなケースです。
- 金銭管理が正しくできない
- 入ってきた年金をすぐに使い切ってしまうといったことが発生します。
- 詐欺に遭いやすい
- よくある振込詐欺にあいやすくなります。それだけでなく、銀行などの金融機関から、全く不要な保険商品などを契約してしまうといったことが発生します。
- お金に関する被害妄想が激しくなる
- 現実にはお金と取られていないので、その場にいる親族の人にお金を取られた錯覚してしまうケースが発生します。
- 口座凍結されてしまう
- 認知症になったことが金融機関に伝わってしまうと、その口座は凍結されます。介護をする家族がお金を本人のために使うことができなくなります。たとえば、親の家を過ごしやすいようにリフォームしようとしても、お金がひきだせないということになります。
こうなってしまっては、後ほど述べる成年後見人制度を使用しないとそのお金が使えなくなります。
- 認知症になったことが金融機関に伝わってしまうと、その口座は凍結されます。介護をする家族がお金を本人のために使うことができなくなります。たとえば、親の家を過ごしやすいようにリフォームしようとしても、お金がひきだせないということになります。
何の対策もせずに、親が認知症になってしまうと、親の財産を守っていくことが難しくなっていきます。ひいては、両親の介護をする自分にお金の問題がふりかかってくることになります。
絶対に避けたい成年後見人
成年後見人制度とは?
本人以外の人が、本人のために財産を管理する制度です。具体的には以下のように定義されています。
精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した成年後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。
Q3~Q15 「法定後見制度について」 – 法務省
成年後見人はだれがなる?
成年後見人は、家庭裁判所がえらびます。家族がなれるのなら、何も問題ないように思えますが、実態としては、弁護士・司法書士といった専門家がえらばれることが多いです。
実際には、80%以上のケースで、家族以外が選ばれているようです。(成年後見関係事件の概況 令和3年1月から12月まで 8-1 成年後見人等と本人との関係について(資料10-1))
具体的にどんなことが困るのか?
最も困ることは、家族が親のために親のお金を使いたいと思っても、成年後見人が本人のためと判断しなければ、お金をつかえないことです。
たとえば、親の自宅に介護向けのリフォームしようとしても、成年後見人がYESといわなければ、お金を使うことができません。
私が家族信託締結をお願いした司法書士の話では、成年後見人が付いてしまうと、銀行口座の通帳やハンコなど全てを成年後見人が持って行ってしまうとのことでした。
ほかにも、選ばれた司法書士や弁護士が両親の財産を使い込んでしまう、親の財産の状況を教えてくれないといった酷いケースもレアですがあるようです。
また、さらに法定後見人制度を利用すると財産額によって、毎月1万円から5万円の費用が掛かります。
そうならないようにどうする?
介護に向けて、家族会議による介護方針のすり合わせ、財産状況の把握、家の片付け、健康管理といった準備をしっかりしていきましょう。
特に認知症による口座凍結への対策は、本サイトで紹介する家族信託が有効です。
かくいう私も2022年から介護準備を開始しました。その中で実施した家族信託、委任・任意後見契、公正証書による遺言の対策は、両親に判断能力が残っているうちしかできませんので、早めの準備が必要です。
具体的には私は以下のような準備を実施しました。詳細は本サイトで皆さまへご紹介していきたいと思います。まだ、取り組み中の項目もありますが、今後、実施とともにご紹介していければと思います。
- 【準備作業】
- 自分で介護・家族信託などの制度・仕組みの学習
- 介護に向けてどのような準備をすればよいのかリストアップ
- 両親との信頼関係の構築
- 両親とお金に関する話をする
- 【家族会議の実施】
- 両親の介護準備の目的のすり合わせ、方針の作成
- 両親の財産状況の整理
- 保険加入状況の整理
- 両親の今後の生活の収支・キャッシュフロー表の作成
- エンディングノートの作成
- 【家族信託、委任・任意後見制度、公正証書による遺言書の作成】
- 家族信託の仕組みを親に教えて、家族信託をすることを合意
- コンサルタントを選ぶ
- コンサルタントとの顔合わせ・ミーティング
- どのような家族信託を作るのか、家族信託でやりたいことの検討
- コンサルタントとの家族信託、委任・任意後見制度、公正証書による遺言書のドラフト案すり合わせ
- 家族信託の信託財産を運用する証券会社の選定、IFAとの顔合わせ、口座開設
- 公証役場での信託・契約・遺言書の作成
- 信託財産の管理
- 「信託の計算書」「信託の計算書合計表」の政務所への提出:これから実施
- 【保険の整理】
- 相続税軽減に向けた保険内容の見直し:実施中
- 無駄な保険の解約:実施中
- 保険の名義人の切り替え:実施中。
- 【両親の財産の運用】
- 継続中
- 【両親の健康管理】
- 脳ドック、人間ドッグ、聴力検査などを進める:継続中
- 【両親の自宅の荷物整理、片付け】
- 未着手
成年後見人を選定しなければならないようなことのないよう、両親の介護をスムーズに進めていくために準備を一緒に進めていきましょう。特に家族信託、委任・任意後見、遺言は、両親の頭がはっきりしているうちしかできません!
自分で書いてて、ずいぶん去年一年で進めたなと思い返しております。
皆さまも上記のリストを見てうんざりされたかもしれませんが、準備していなければ、もっと面倒なことになります。一緒に頑張りましょう。
まとめ
- 両親が加齢とともに認知症を発症してしまうと、両親の判断能力が失われます。
- その結果、銀行口座が凍結されてしまうことがあります。
- そうなってしまうと、親の介護の費用を親の財産から、簡単に拠出することができなくなります。
- そうならないように、元気なうちから介護準備を始めましょう!
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